なにわの超逸材・清井咲希が大輪の花を咲かせる日

なにわの超逸材・清井咲希が大輪の花を咲かせる日
 
 

前に出ないタイプからセンターになって急成長

 
 
 関西を拠点に活動するたこやきレインボーが、迷路のような梅田の地下街と複雑な恋心をかけた新曲「恋のダンジョンUME」をリリースした。センターの清井咲希は8月に21歳の誕生日を迎える。
「すごく落ち着きが出てきました。以前はみんなで外に行って走ったり、アクティブに動いてましたけど、最近はおうちでお料理したり、ショッピング中もカフェでお茶したり、ゆったりになって。疲れを感じるようになったせいでもありますけど(笑)」。
 1年ほど前は20歳の誕生日を控え、「やっとメイクを自分でするようになったので、目標はきれいになること」と話していた。
「今回のおうち時間に、買っておいたままだった化粧水を奥から引き出して、使ってみました。それから、髪の毛を自分で巻きたかったんです。私の髪は直毛でストーンって感じで、街を歩いている女の子を見て、『ああいうヘアアレンジは巻かへんとできひんな』と思っていて。それも今回の自粛期間で巻けるようになりました」。
 そういうことをしてもしなくても、圧倒的にヴィジュアル力の高い清井咲希。加えて、はんなりした清楚感とかわいらしい歌声。今のアイドル界全体を見回しても屈指の逸材で、絶対的センター感を漂わせている。
 だが、彼女は最初からたこやきレインボーのセンターではなかった。もともとスカウトされて1カ月遅れで加入し、結成時からセンターだったメンバーが卒業して5人編成になった2014年に、このポジションに就いた。
「私は全然前に出るタイプではなくて、MCでもほんまにしゃべれなかったし、他のメンバーの後ろでモジモジしていたんです(笑)。そんな子が真ん中に来るなんて、たぶん皆さんは思ってなくて、自分でも『私がそこに立って嫌がられないかな?』って不安でした」。
 今になれば杞憂でしかなかったが、清井咲希は品が良い分、ガツガツ行くタイプでないのは事実のようだ。他のメンバーも彼女について、「割れないガラスのビンの中で大切に育てられたようなきれいさがある」(彩木咲良)などと話している。清井のほうは他のメンバーに「同じグループやけど『芸能人やな。私とは違うな』と思っていました」という。
「でも5人になってから、私、本当に変わりました。『しっかりしなきゃ』というのがあって、メンバーにツッコむようになったり。学校の友だちにも『咲希は急に変わった』と言われて、お母さんには『雑なところが増えた』と怒られたりもしました(笑)」。
 
 

新曲で見せた女性らしい振りと表情

 
 
 それでも、いまだにセンターを「たまたま真ん中にいるだけ」という考えは変わらない。正統派アイドルとしてのあり余るほどの輝きも、本人に自覚はない様子。
「自分の強みというと……メンバーには『お料理がうまい』と言われます(笑)。あと、『パフォーマンスは堂々としている』と言ってもらいますけど、本当はそんなことないんです。すごく緊張しますし、『他のメンバーはうまく踊れて自分だけができひん』といつも思っていて。特にソロの歌い出しは毎回ドキドキ。曲の印象がそこで決まるので、何回やっても不安で、自分を落ち着かせて『せーの』って感じで歌っています」。
 自分で今、課題にしていることはあるだろうか?
「今までは関西ノリでワチャワチャと子どもっぽさがあったと思うんですけど、21歳になるので、もうちょっと大人になりたいというのはあります」。
 そういった意味では、セクシーな振りの入る新曲「恋のダンジョンUME」はうってつけだった。
「今までと違う大人な恋愛ソングで、女性らしい振りや表情をしています。体のラインを柔軟な動きを使って見せたり、上目づかいや流し目をしたり」。
 MVでは、ウィンクや投げキッスも見せている。
「そういうのは考えてやってはいません。曲に合わせた感じで、出来上がって自分で観ると『こんな顔をしていたんや』って恥ずかしくなります(笑)」。
 「恋のダンジョンUME」はサウンド的には70~80年代ふうのディスコチューン。
「仮歌で初めて聴いたときから、自分の中にパッと入ってきて聴きやすくて、ずーっとリピートしていました。イントロがゲームの音みたいな感じがするんです。何のゲームかわからへんけど、ファミコン? ピコピコ感があって馴染みやすかったです」。
 たこやきレインボーの5人は4~5月の外出自粛期間中、かねてから共同生活して「たこ虹ハウス」と称する宿舎から、動画配信をほぼ毎日していた。
「『パフォーマンスを強化しよう』という話もメンバーでして、自主レッスンをしていました。アイソレーションとか基礎を1から改めて練習して、振りを揃えて、グループのインスタグラムに上げたり。昔の自分たちの映像を観ると全然踊れてなくて(笑)、みんなで『成長したね』と言っています。早くお客さんの前で披露したい!」。
 
 

女優として難役で自分からの発信を磨く

 
 
 一方、清井咲希は個人で女優活動も行っている。2016年に1話完結の連続ドラマ「大阪環状線 ひと駅ごとの愛物語」(関西テレビ)の第7話に主演。翌年の第2シリーズでは全話通じて登場するキャラクターとなり、最終話では再び主演。昨年は初の本格的な舞台「はい!丸尾不動産です。~本日、家に化けて出ます~」にヒロイン役で出演した。
「舞台はライブと全然違いました。たこやきレインボーのライブなら、お客さんは基本ファンの方で、失敗しても笑ってくれると思うんです。舞台はそうではなくて、他の役者さんを観に来た方もいるし、足を引っ張れない。失敗は絶対許されないので、めちゃめちゃ緊張しました」。
 ワン・シチュエーション・コメディで、清井が演じたのは、死んだおばあさんが女子高生になって現れた幽霊という複雑な役。
「難しかったです。稽古が1カ月あって、どうやったら気持ちが伝わるとか、1から教えていただきました。ライブやったら立ち位置がしっかり決まってますけど、舞台では台詞がなくても、ステージのどこを使うかで考えていることが見えたりもして、何もない状態から自分で発信するんです。私は人の意見を聴いて『それやります』ということが多かったので、舞台で『どうしたい? どういう気持ちなん?』と問われて、自分から生み出していくことに苦労しました」。
 それでも本番では、見た目は女子高生、中身はおばあちゃんという役をナチュラルに演じ、笑いも涙も誘った。
「ダメ出しは毎回ありました。だからこそ『次は完璧にしよう』という気持ちが生まれて、やったことを監督に誉められるとすごく嬉しかったです」。
 所属するスターダストプロモーションは、常盤貴子、竹内結子、北川景子ら有名女優を多く輩出していて、アイドル部門の先輩に当たるももいろクローバーZの百田夏菜子も、NHK朝ドラ「べっぴんさん」にメインキャストで出演した。清井も清純派でコメディもできる女優としての資質をうかがわせるが、本人の意欲はどうなのだろう?
「とりあえず今はこういう期間で、たこやきレインボーでライブをやりたい気持ちのほうが大きいです。でも、演技のお仕事も楽しいので、できたらまたやってみたいですね。『丸尾不動産』がテレビで放送されたときは『これはアカンわ』って反省点がいっぱいあって、朝ドラなんか私のレベルとは全然違いますけど」。
 謙虚さを失くさないのも清井咲希の良さだが、個人でもグループでも、ひとたび全国区で多くの人の目に触れる機会があれば、立ちどころに人気を呼ぶと期待を募らせる。そういうポテンシャルを彼女は間違いなく持っている。
 最後に、20歳の目標は「きれいになること」だったが、21歳ではどんな目標を掲げるのか?
「やっぱり、きれいになりたいです(笑)。見た目だけでなく、その時々でしっかりした対応ができるようになれたらいいかな。まだ子どもっぽいところがあるので、徐々に大人になります。『恋のダンジョンUME』くらいまでは行けるんですけど、“女の子”からもっと“女性”というイメージを頑張って付けたいですね」。
 
 

Text:斉藤貴志

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 
 

「恋のダンジョンUME」

 
 
豪華スペシャルUFO盤(CD+Blu-ray) ¥14,000+税
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