PICK UP ACTRESS 井頭愛海

PICK UP ACTRESS 井頭愛海

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

初主演映画「鬼ガール!!」が公開
鬼族の血を引き青春に奮闘する女子高生役

 
 

――初主演映画「鬼ガール!!」で鬼族の末裔の女子高生・鬼瓦ももかを演じました。高校初日のシーンから、自転車で爆走してましたね。

「もう『自転車を何回こぐねん!』というくらい、めちゃくちゃ乗りました(笑)。最初の桜のところから、自転車のシーンだけを撮った日が3日間あって」。

――そんなに!? 確かに自転車に乗ってるシーンは結構ありましたが……。

「映画ではだいぶ凝縮されましたけど、その3日間は1日中ずーっと自転車をこいで、『これはどこのシーンだっけ?』とわからなくなりながら(笑)、次の日は筋肉痛気味でした」。

――自転車には普段から乗っていて?

「乗ってましたけど、撮影では初めてで、ちょっと乗り方が変でした(笑)。ハンドルを揺らす癖があって、たまにウインウインしてるのが映っていて。でも、楽しかったですね」。

――坂道もスイスイ登ってました。

「学校前の坂は絶対に自転車で登れないんです。傾斜が80度くらいあって(笑)、危ないから校則でも自転車は降りることになっていて、私も最初、自力でこいだら無理でした。それでタイヤにロープを付けて、男性スタッフが車輪を動かしてくれたんです。そこは鬼族の力を発揮できなくて(笑)。でも、実は私自身も鬼の末裔だったみたいです」。


――どういうことですか?

「この映画が決まったとき、親戚の方に『愛海ちゃんは本当に鬼の末裔なんだよ』と言われました。『どういうこと!?』ってなるじゃないですか。ネットで調べたら、私のご先祖様が宮司を務めていた神社の“井頭”という名字の家系は、鬼の子孫だったという言い伝えがあって。私にも鬼の血が流れているんじゃないかという」。

――思い当たることもあるんですか?

「全然ありません。ももかみたいに角が生えてくるかはわかりませんし(笑)、力が強いとか、運動神経が良いこともなくて。商店街の一本道を猛スピードで走っていくシーンの撮影も、4回くらい全力疾走して、息が切れて、だいぶヘトヘトになりました(笑)」。

――劇中では鉛筆をバキッと折ってました。

「それもまったく無理ですね。上手いこと細工してもらいました(笑)」。

――そういうのも含め、前半はコミカルなシーンが多かったですね。「高校デビュー失敗やんか~!!」と叫びながら、廊下を走っていたり。

「鬼なので力強く見せたくて、感情の赴くままに暴れてみようかなと(笑)。テストのとき、思い切って人を投げ飛ばすくらいの勢いで大股で走ってみたら、監督からOKが出ました。そこを最初のほうに撮ったので、『ももかはこういう感じなんだ』と掴めました」。

――ベッドで妄想して「ふぎゃー!!」と叫びながら悶えるところも面白かったです(笑)。

「あそこまでコミカルに走る作品は今までなかったので、自分のできる最大限の全力でやることを意識しました。わりとポンポン撮っていく感じで、2回くらいでOKだった気がします」。


――振り切ろうとしたら振り切れたらと?

「こういう役も初めてで、とりあえず自分のイメージでやってみました。私も感情の起伏は激しいほうなので、ももかとそこまで掛け離れている感じはなかったです」。

――愛海さんはどんなときに感情が出るんですか?

「足の小指を角にぶつけることがよくあって、自分にめちゃくちゃ怒って『何やってんねん! 痛ったいやんか~!』と1人ツッコミをしています(笑)」。

――じゃあ、ももかの突っ走る感じとか豊かな表情も自然に出たもの?

「私の素に近いところが多かったですね。大阪にいたときはああいうタイプで、ハッチャケて、みんなで『イェイ、イェイ!』って戯れるのが好きだったので(笑)」。

――おしとやかな美少女だったわけではなくて。

「いえ、全然。静かな子に見られることが多いですけど、実際そんなことはなくて、よく喋るタイプです。中学生の頃は校舎でかくれんぼとか、よくしてました(笑)」。

――ポッキーの束を鬼食いするシーンはどうでした?

「大変でした。ポッキーを100本くらい一気に食べるなんて贅沢をしたことがなくて、口の大きさの許容範囲を越えていて(笑)。2~3回挑戦すると、手もベトベトになるんです。貴重な経験でした」。


 
 

クライマックスで役と自分が重なって
泣くはずではなかったのに涙が溢れました

 
 

――昨年末の晴着取材では、この「鬼ガール!!」について「撮影中は悩むばかり」との話がありました。どんなところで悩んだんですか?

「『ちゃんとももかになれているかな? 気持ちはこれで大丈夫かな?』という不安は常にありました。夜中に次の日の撮影のことを考えるとドキドキして、なかなか眠れなくて、寝不足気味にもなりました。1人で『このシーンはどうしたらいいんだろう?』って悩みすぎると、勝手に悲観的になってしまって。でも、主役を任せてもらった以上、頑張るしかないなと。共演者の方が台詞合わせにつき合ってくださったり、『大丈夫だよ』と言ってもらえると、だんだん自信が持てました。そこはももかと一緒でしたね」。

――クライマックスのももかがすべての想いを打ち明けたシーンは、涙も自然に出た感じですか?

「撮影自体もそのシーンがラストカットに近くて、ももかの『この瞬間を乗り越えたら、きっと解放される』という気持ちと、私の『この撮影を乗り切ったら、きっと違う景色が見られる』という想いが合致しました。すごく集中して、泣くつもりはなかったんですけど、何か急に涙が溢れてきました」。


――前の取材では「悩んでもごはんは食べるべき」とも言ってましたよね。

「私は緊張するとごはんを食べられなくなるタイプなんですけど、やっぱり食べないと元気が出ないことが判明しました(笑)。ももかのパワフルさを出すためにも、しっかり食べてエネルギーを溜めることが大事でした」。

――他にも、去年の6~7月の撮影で、今もよく覚えていることはありますか?

「学生インターンで撮影に参加してくださった方が結構いました。メイクさんや小道具さんや撮影補助のサポートに付いて、私と同年代の皆さんがすごく頑張っていて、親近感が湧いて、合間にみんなで話したのは思い出に残っています。地元の奥河内の方々もすごく温かくて、炊き出しや差し入れをいただいたり、山まで車を運転してくださったり。本当にたくさんの人の協力があって作品ができることを、改めて感じました」。

――奥河内は愛海さんの地元でもあるんですよね?

「私は隣町ですけど、遠足とかでよく訪れました。だから、すごく懐かしい気持ちになりました」。

――ももかは高校生になって青春しようとしていました。愛海さんも高校に入ったとき、そういうことは考えましたか?

「考えていたと思います。高校に入ると同時に大阪から上京して、『どんな生活が待っているんだろう?』って、ももかと同じ気持ちになっていましたし、『高校3年間を絶対楽しんでやるぞ!』くらいの勢いで来ました」。

――どんな高校生活をイメージしていたんですか?

「みんなで花火大会に行ったり、写真をいっぱい撮ったり。でも校則が厳しくて、制服で遊びに行ったりはできなくて。卒業してからナンチャッテで、制服でディズニーランドに行ったりはしました(笑)」。

――実際に高校で青春できました?

「できたと思います。クラスの子たちと『思い出を残したいね』って、動画をたくさん撮って繋げてムービーを作ったり。当時、音に合わせて写真を撮って動画にするストップモーションみたいのが流行っていて。放課後に学校の帰り道とか、お台場の海で撮影しました」。


――今、普通の高校生に戻れたら、したいことはありますか?

「自転車で地元の子たちと5人くらいで通学したいです。小学生の頃とか家から学校が近かったので、寄り道することがなくて。だから、帰り道にお菓子を食べるとか、やってみたいですね」。

――普通の子だったら恋愛も?

「『花火大会に浴衣を着てグループで行きたい』というのはあります。『どうなっていたんだろう?』と妄想はよくします」。

――そして、今の愛海さんは10代最後の年になっています。

「そうなんです。旅行に行ったりするのがなかなか難しいので、自分と向き合う10代の最後にしたくて。将来について深く考えて、20歳になる目前に未来の年表を書きたいと思っています。何歳までにこういうことをしたいとか、こんな映画に出たいとか。10年後の自分への手紙も友だちと書いたんです。何か面白いかなと思って。お互いの手紙を交換して、机の奥にしまってあります」。

――昨年末の取材では「ギターを始めた」という話もありましたが、今も弾いてますか?

「ギターはちょっと眠ってます(笑)。今は韓国ドラマにハマリました。『梨泰院クラス』とか、お薦めされた『恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ~』とか。観始めたら止まらなくて、キュンキュンをずっと味わっています。ごはんもキムチ三昧になりました(笑)」。

――秋はそんなふうに過ごしているわけですか?

「食欲の秋ですけど、運動不足になりがちなので、しっかり体を動かしたいです。たまにランニングしても三日坊主になりがちで、そうならないように頑張る秋にします」。


――また自転車に乗るシーンがあったら、坂道も登れるように?

「腹筋も背筋も鍛えて、バッチリこげるようにしておきたいです(笑)」。

 
 


 
 

井頭愛海(いがしら・まなみ)

生年月日:2001年3月15日(19歳)
出身地:大阪府
血液型:O型
 
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2012年に「第13回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞。2013年公開の映画「おしん」で女優デビュー。主な出演作はドラマ「べっぴんさん」(NHK)、「明日の約束」(カンテレ・フジテレビ系)、「さくらの親子丼2」(東海テレビ・フジテレビ系)、「少年寅次郎」(NHK)、「ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~」(NHK)など。主演映画「鬼ガール!!」は10月9日(金)より大阪先行公開、10月16日(金)より全国順次公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「鬼ガール!!」

詳しい情報は「鬼ガール!!」公式サイトへ
 

 

(C)2020映画「鬼ガール!!」製作委員会
 
 
 
 

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