PICK UP ACTRESS 小島梨里杏

PICK UP ACTRESS 小島梨里杏

PHOTO=古賀良郎 TEXT=斉藤貴志

映画「人狼ゲーム」新作で初主演
生死を賭けた緊迫の演技を見せる


 
 
――公開中の「オオカミ少女と黒王子」に今回の初主演作「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」と、まだまだ女子高生役が来ますね。

「来るんです。うれしいです」。

――制服もまだ全然イケると。

「周りとのバランスかな、と思うんですよね。今回は高校3年生の役で、同い年の設定で4歳とか5歳下の子もいましたけど、見た目が大人っぽくて。最近の若い子って、そうですよね。『オオカミ少女と黒王子』でも、仲良しメンバー役の池田エライザちゃん、玉城ティナちゃん、武田玲奈ちゃんは全員年下だったんです。でも、みんな大人っぽかったから」。

――HUSTLE PRESSで取材させてもらった長谷川ニイナさんとも、「表参道高校合唱部!」(TBS系)でクラスメイト役でしたが、彼女とは7歳差!

「ニイナちゃんは一番年下だったのに、ハーフということもあって大人っぽくて背も高くて。でも話すとかわいくて、年齢差は感じました。私も若い側に入りたいんですけど(笑)」。

――「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」の現場では、主役として引っ張る意識も?

「そういう想いはありました。ただ、言葉で何かを伝えたり、『やるよ』とかは言いません。そういうタイプではないし、それより現場の緊迫感を大切にしました。現実には起こり得ないことをやる映画で、そういう空気がないと成り立たない。その重さを担うポジションでもあるのかなと思っていました」。


――なるほど。

「(人狼として処刑する人を)投票するシーンは、みんなそれぞれの空気感を大事にしてほしかったので、一定の距離感を保ってやりたいと臨みました」。

――実際に生きるか死ぬかの緊迫感が出ていましたが、自然に生まれた空気でした?

「ヒシヒシと。それぞれ生きていかなきゃいけないので。投票の時間が(劇中で)午後8時で、撮影スケジュールも1日の最後のほうに組んでくださって、深夜にかかるぐらいになることが多かったんです。それもあってのことだったと思います」。

――役とはいえ、演じていて精神的にキツかったのでは?

「やっているときは、そこまで気づきませんでした。もちろん辛かったけど、それを客観的に見る自分もいない感じ。1日の撮影を終えたあとのほうが、(役の)乾朱莉から離れられなくて」。

――ホテルに帰っても?

「もちろん寝るときには自分に戻っていましたけど、あまり解放できなくて。泊まり込みの撮影で、基本的に監禁された施設から離れることもなかったので」。


――朱莉は最初は落ち着いているというか、ゲームへの実感がないように見えたのが、だんだん動揺が露わになりました。

「一番“普通”でありたいと思っていました。最初にいただいた台本に、みんなの役名の上にキャラクターを“ヒステリック”とか“いじめられっ子”とか書いてくださっていて、朱莉は“普通”だったんです」。

――“普通”が一番難しいと言いますよね。

「難しいんですけど、私としては台本を読んだとき、朱莉にすんなり感情移入できました。わからないことはあまりなく。掘り下げないといけないところはたくさんあっても、理解できない部分はなかったので、自分に近い役だったんですかね?」。

――今まで出したことのない感情が役を通して出た、とかは?

「それはありました。朱莉の(小学校で同級生だった)相馬くんに対する負い目みたいなものは、私の過去にはないので。本当に自分を責めている子で、私も自分を追い詰めました。追い詰めようと思って追い詰める方法ではなく、相馬くんが今も変わらずいじめられていることへの悲しみがあって」。

――その一因は自分にあると。

「はい。相馬くんは外見は成長したのに、しかも知らない人たちが集まっているのに、やっぱりいじめられる立場になってしまう。その現実に抗えない朱莉がいて。演じていて、やり切れない気持ちが生まれました。それで相馬くんから目が離せない感じになって」。

――観ていると「そこまで自分が引きずらなくても」とも思いましたが。

「そうなんですよね。小学3年のときの出来事を高校3年まで気に病んでいる。しかも、こんなゲームをやっている状況下で考えているということは、逆にそれだけ彼女には重いことだったんだと思って演じました」。


どんな役をやっても仕事をしていないときでも
ちゃんと強く生きていたいと思ってます

――目の前で他の人が死んで、過呼吸のようになりながら泣くシーンは?

「あそこも『こうしよう』と思ったことはなくて。やろうとしたことと言えば、この争いをやめさせたい。でも、自分は生き残りたい。その二つを朱莉は常に思っていて、投票のとき、それが露わになるんですよね。犠牲者を出したくないのと、自分が死にたくないことの葛藤があって。その二つとまた別のところで、相馬くんを守りたい想いもある。でも結局、何もできないというところに落ちるのが、投票のシーンでした」。

――それで自然に息も苦しくなって?

「そうですね。最初はポカーンとしてましたけど、いつ自分が床で死んでいてもおかしくない状況で、『ごめんなさい』という気持ちも大きくなって」。

――梨里杏さん自身は「死ぬかもしれない」とか、そこまで行かなくても絶対絶命のピンチとか、一番近い経験というとどんなことですか?

「何だろう? 役で困ったのは戦隊(烈車戦隊トッキュウジャー)をやっていたとき、ドラマと映画と舞台が同時進行だった時期があったんです。映画をやりながら他のドラマも撮るとか、そういうことはあると思いますけど、あのときは『トッキュウジャー』のドラマと映画と舞台があって。やりやすそうに見えますけど、時間軸とか場所とか、どこにいて何をやっているのか、かえってわからなくなるんですよね。そういう混乱はありました」。

――人狼ゲームのような心理戦で、嘘をついて人をダマすのは得意ですか?

「得意じゃないです。苦手です。もともと人と争うゲームが小さい頃から苦手なんです。人生ゲームとかはまだいい。オセロもいいとします(笑)。だけど、集団でやる鬼ごっことか怖くて。一人ぼっちになっちゃうのが嫌いなんです。この作品に出ることが決まる前に、友だちに『人狼ゲームをやるよ』と言われて、『イヤだな……』と思いながらやっていたら、案の定ダマされて死にました(笑)。だから『もうイヤだ!』って、人狼ゲームに苦手意識がすごくあったんです」。


――映画の無理やりゲームに参加させられる設定には、合っていたかもしれませんね。

「リハーサルのときも、キャストみんなで人狼ゲームを何回かやりました。役と関係なくカードを配られて。最初に私、村人を引いたんです。真剣にやっていて、やっぱり仲間を見つけたくなって、そのなかで同じ村人だと確信した人がいて。なぜかというと、その子は人狼をすごく怖がる素振りを見せていたから。『そうだよね』と思っていたら、私はその子に殺されました(笑)」。

――でも、プロフィールの趣味欄には“人間観察”があります。

「ああ……。『あんな目の動きをしているから、こういうふうに思っているのかな?』という感じで考えるんですけど」。

――“音楽連想”というのも趣味に入っていますが、何をするんですか?

「音楽を聴いて絵を描いたり詞を書いたり、元からあるPVと違う映像を自分のなかで膨らませるのが好きなんです」。

――あと、ツイッターで唐突に「どんな時も生きられる人間になりたい」「今を感じて、枠を壊していきたい」「自分に宣戦布告ってとこですね」とつぶやいていましたが、何か思うところがあったんですか?

「どんな役をやっていても、お仕事をしていないときでも、ちゃんと生きていたいなと思って。何かあって書いたわけではなく……、『強くなりたいいなぁ』と思ったんですかね?」。



 

小島梨里杏(こじま・りりあ)

生年月日:1993年12月18日(22歳)
出身地:東京都
血液型:O型
 
 

【CHECK IT】
ドラマや映画、舞台などを中心に女優活動。2014年に「烈車戦隊トッキュウジャー」(テレビ朝日系)にミオ /トッキュウ3号役で出演して注目される。現在はドラマ「朝が来る」(東海テレビ・フジテレビ系/土曜23:40~)に出演中。映画「オオカミ少女と黒王子」が公開中。6月27日(月)スタートのABC創立65周年記念連続ラジオドラマ「ナデシコですから」」(月~金曜6:15~)に出演。初主演映画「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」は7月2日(土)より公開。今秋放送予定の時代劇「子連れ信兵衛2」(NHK BSプレミアム)でヒロイン・おぶん役を演じる。詳しい情報は公式HPへ
 
 

詳しい情報は映画「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」公式HPへ
 
映画「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」
 
拉致・監禁した高校生たちに殺し合いをさせ、生き残った者には1億円が与えられる“殺戮ゲーム”。人呼んで<人狼ゲーム>。目覚めると私はそれに参加していた。一体誰が、どのような目的で行っているのか…。参加メンバーのひとりが、以前“賭け側”としてゲームを観戦したことがあると告白した。生き残るためには、殺し合いしかないのか?私は、ゲームを続けながら殺戮の連鎖から抜け出す方法を模索する。互いを信じられない中、この牢獄から脱出できるのか?
 
7月2日(土)より、シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開
 
 

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