PICK UP ACTRESS 水谷果穂

PICK UP ACTRESS 水谷果穂

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「さくら」で主人公の兄の恋人役
犬との触れ合いで癒されて変わっていく

 
 

――1匹の犬と5人の家族を描いた映画「さくら」に出演していますが、果穂さんも実家で犬を飼っているんですよね。

「モナカというワンちゃんがいます。今は離れて暮らしていますけど、3歳で本当にかわいくて。実家にいたときはいつも遊んでいて、一緒にお昼寝もしました」。

――初めてのペットだったんですか?

「2代目です。最初は小学生の頃に、お誕生日プレゼントで買ってもらいました」。

――動物の中でも犬が良くて?

「そうです。ただ、もともと動物は好きだけど、触われなかったんです(笑)。でも、自分が『飼いたい』と言って飼ったのだからと、ケージの中に手を入れて触わる練習をして、だんだん慣れました」。

――愛犬は果穂さんにとって、どんな存在ですか?

「年の離れた小さい妹、みたいな感覚です。何をやってもかわいい、という(笑)」。


――「さくら」で演じたのは、家族の長男・長谷川一(ハジメ/吉沢亮)の彼女の矢嶋優子。家庭環境に問題があって、最初はグレてる感じでした。

「そういう役は今までも演じた経験はあったので、意外ではなかったです。オーディションでは(長谷川家と関わる)3人の女性の役を全部やって、その中から優子役がいただけて良かったです」。

――優子はハジメとの恋に加えて、長谷川家に来ては飼い犬のサクラと触れ合ったことで、変わっていったようですね。

「そういうことは本当にあると思います。動物のセラピー効果というか、私もワンちゃんと遊んでいると、素直な気持ちになれたりするので」。

――劇中で優子がサクラを撫でて初めて見せた笑顔も、自然に出たもの?

「そうですね。ワンちゃんは好きなので、現場にいてくれるだけで和みましたし、サクラとのシーンは楽しみでした。すごくいい子で、とってもお利口さんなんです」。

――良い演技をしてましたね。犬待ちみたいなことはありませんでした?

「私が出た場面ではなかったです。ただ、じゃれ合うシーンで勢いよく顔をベロベロなめてくれて、私的には嬉しかったんですけど、あまりに激しすぎて(笑)、何回か撮り直しました」。


――懐かれていたんですね。

「エサを持って遊んでいると、だんだんサクラのテンションが上がってきて、しゃがんで顔を近づけると、すごくはしゃいでくれる感じでした」。

――引っ越しをするシーンは切なさがありましたが、果穂さんが静岡から上京するときと重なる気持ちもありました?

「私の場合、いきなり引っ越したのではなく、高校生の頃からお仕事で東京と半々くらいの生活をしていたので、特にお別れということもなく、自分の中でも自然な流れだった気がします」。

――友だちが見送りに来てくれて、感動的なことがあったりは?

「まったくなかったんです。みんなの知らないうちに出てきて、『果穂、東京に行ってたんだ』くらいな感じでした(笑)」。

――優子はその後、ハジメと手紙のやり取りをしてました。今はメールの時代ですが、果穂さんは手紙を書くことはあります?

「何もないときに書くことはあまりないですけど、お別れとか何かあったときに書いたりはします。直接会える機会があれば、手紙を渡すことが多いです。逆に、遠いところへ手紙を書いて、ポストに入れることはあまりしません」。

――手紙を書くのがおっくうなわけではなくて?

「書くこと自体はまったく苦ではありません。でも、ポストに入れるのがおっくうで(笑)。なるべく手渡ししたいです」。

――ポストに入れるのが、手紙を書くより大変なんですか(笑)?

「面倒くささを感じてしまいます(笑)。何でだろう? 宅急便で送り物をするときも、準備はできていても発送がなかなかできなくて、ギリギリになってしまうことが多いんですよね」。

――「さくら」の撮影で、矢崎仁司監督から演出的に言われたことはありました?

「私のままで優子に重ね合わせるように言われました。役作りをするより、嘘のない感情でお芝居することを重視してくださいました」。

――それを踏まえて、スムーズにいったんですか?

「そうですね。作って演じてしまうとやっぱりOKが出なくて、気持ちが本当に動いたときにOKになったと思うので、そういうことなんだなと。自分で『今のはちょっと無理があった』とか納得いかなかったら、監督がすぐ気付いて、もう1回やらせてくださったので、信頼感がありました」。


――3年前の取材では、「『溺れるナイフ』を観て小松菜奈さんに惹かれました」とのお話がありました。今回、小松さんはハジメの妹の美貴役ですが、共演は初めてでしたっけ?

「そうです。私が好きな作品に出演されていたり、私が小松菜奈さんを好きで作品を観るから、映像ではよく拝見していました。現場ではすごく自由な感じがして羨ましかったり、お芝居も常に自然体で素敵でした」。

――合間に話したりも?

「撮影場所が山梨の富士山が目の前に見えるところで、私が『実家のある静岡から見ても、きれいなんです』みたいな話をしました(笑)」。

――試写を観て、映画全体にはどんな感想を持ちました?

「家族のお話で、みんなそれぞれ、きれいごとだけでない人間くさい部分があって。そういうことがたくさん詰まっているのに、映画全体ではきれいな家族愛を見た感じがしました。自分も出演した映画ですけど、すごく好きになりました」。

 
 

家族の距離の近さに共感しましたけど
3人姉妹でお風呂が長くて大変でした(笑)

 
 

――ハジメが亡くなるまでの長谷川家はすごく親密でしたが、水谷家と重なるところはありました?

「うちも3人姉妹の5人家族で、犬もいます。3人が同じ部屋で寝るシーンがありましたけど、うちも自分の部屋がなくて、長い間、家族みんなで一緒に寝ていたんですね。そういう距離が近いところは共感できました。あと、犬のサクラの一挙一動を家族みんなで見守っている感じは、うちでもありました」。

――ハジメと弟の薫(北村匠海)が高校生になっても、一緒にお風呂に入って背中を流していたのは、なかなかない気がしました。

「そうですよね。私も温泉に行って妹と一緒に入ることはありますけど、さすがに背中を流したりはしません(笑)。うちは女だらけなので、みんなお風呂が長くて。1人1時間以上は入るので、『早く出て!』となることもあって、すごく大変でした(笑)」。


――ハジメの部屋には、バースデーケーキを前に優子と2人で写っている写真がありました。果穂さんもこの映画の公開を前に、11月3日に23歳の誕生日を迎えましたね。

「実家にいた頃は毎年、誕生日ケーキを作ってくれました。ここ何年かは誕生日に合わせてライブやイベントがあって、皆さんにお祝いしていただくことが多くて、プライベートで家族や友だちと誕生会みたいなことはしなかったです。今年はイベントもなくて、誕生日の実感がなかなか湧きませんでした(笑)」。

――22歳になってから、速かったとは感じます?

「この1年はすごく速かった気がします。『さくら』を撮っていたときは、まだ21歳だったんですよね。この作品で初めて髪を染めたんですけど、結構昔のことに感じるので、それなりの時間が経ったんだなと思います」。

――初めて髪を染めたときの感覚は覚えてますか?

「高校生役で地毛が明るい設定だったから、光に当てないとわからないくらいでしたけど、それでも染めたことがなかったので、ちょっと嬉しさはありました」。

――この1年のことだと自粛期間もありましたが、果穂さんは「プリズン・ブレイク」にハマったそうですね。

「配信でドラマをたくさん観ました。海外ドラマはあまり観たことがなくて、なぜ『プリズン・ブレイク』を今になって観たのか、きっかけは覚えていません。でも、ああいうドスンと来る感じの男くさい作品は好きで、すごくハマって、もうずーっと観ていました」。

――韓国ドラマも観ているんでしたっけ?

「それも自粛期間からです。流行っていた『愛の不時着』とか、最近だと『キム秘書はいったい、なぜ?』がNetflixで1位になっていたので観たら、面白かったです」。

――韓国ドラマの面白さって、どういうところだと思いますか?

「物語的には私もよく読む少女マンガに近いものも多いですけど、それがすごくリアルに思えて。私は今まで、キュンキュンの恋愛モノとか恥ずかしくなって観られないことが多かったのに、韓国のそういう作品だと、すんなりキュンとできて、物語に入っていけるのがすごいなと思います。『愛の不時着』は観ながら泣きっぱなしでした。『サイコだけど大丈夫』は絵本のような世界観がかわいくて、映像もすごかったです」。


――時間があった自粛中に、大きく言えば人生についてとか、考えたこともありました?

「私はもともと外によく出るタイプではなかったので、生活が急変した感じはあまりなくて。『やっぱり家にいるのが好きなんだ』と思ったくらいです(笑)」。

――最近の出演作だと「美食探偵 明智五郎」でのアイドル役は楽しんでできました?

「楽しかったです。でも、本物のアイドルの皆さんに比べたら激しいわけでないダンスでも、歌って踊って、かわいく見せるのは大変でした。グループ役の3人で練習しながら、『アイドルの方たちってすごいね』と話しました」。

――自分がアイドルになりたいと思った時期はありませんでした?

「目指していたことはないです。でも、小さい頃からアイドルが好きで、知っている曲を家で歌ったり踊ったりは、よくしました」。

――AKB48がブームだった頃?

「そうですね。あと、私はももクロ(ももいろクローバーZ)にハマって、中学時代は家族みんなでダイエットも兼ねて、『Chai Maxx』とか踊りました(笑)」。

――そういえば、百田夏菜子さんとは同じ浜松出身ですね。そんなこんなで11月になりましたが、冬物の服は買ったんですか?

「まだ暑かった9月ごろに、先取りして秋服や冬服をすごく調べて、ニットとかは買いました。それで満足してしまって、今は洋服への熱が落ち着いています。そろそろコートとか厚手のものを探さないといけないんですけど、物欲がまた戻らないと、今年の冬は着るコートがありません(笑)」。

――イベントごとも多い季節ですね。

「私は誕生日を1人で過ごすのは大丈夫ですけど、365日の中でクリスマスに1人でいるのが一番苦手です。街がイルミネーションでにぎわっている中で、すごく寂しい気持ちになるんですよ(笑)。去年は確か、友だちとディズニーランドに行きました」。


――「夢の通り道」のナビゲーターですもんね(笑)。

「でも、当日に何の予定もなくて、何とかマネージャーさんとごはんを食べさせていただいた年もあります(笑)。去年も冬に作品の撮影をしていたのに、クリスマスの日はスケジュールがなかったので、今年は入っていてほしいです」。

――普通はクリスマスに仕事がないほうが嬉しいものかと(笑)。

「1人だと寂しいので、何か予定が入ればいいなと思います(笑)」。

 
 


 
 

水谷果穂(みずたに・かほ)

生年月日:1997年11月3日(23歳)
出身地:静岡県
血液型:B型
 
【CHECK IT】
2013年にCMでデビュー。同年放送のドラマ「リアル脱出ゲーム 密室美少女」(テレビ東京)で女優デビュー。主な出演作は「地獄先生ぬ~べ~」(日本テレビ系)、「とと姉ちゃん」(NHK)、「スニッファー 嗅覚捜査官」(NHK)、「義母と娘のブルース」(TBS系)、「なつぞら」(NHK)、「凪のお暇」(TBS系)、映画「先輩と彼女」、「バレンタインナイトメア」、「honey」など。また、2017年にシングル「青い涙」で歌手デビュー。2019年に1stアルバム「深呼吸」を発売。「夢の通り道」(日本テレビ/日曜21:54~)にナビゲーターで出演。映画「さくら」は11月13日(金)より全国公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「さくら」

原作/西加奈子 監督/矢崎仁司 配給/松竹
詳しい情報は「さくら」公式サイトへ
 

 

 

(C)西加奈子/小学館 (C)2020「さくら」製作委員会
 
 
 
 

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