PICK UP ACTRESS 岡本夏美

PICK UP ACTRESS 岡本夏美

PHOTO=厚地健太郎 INTERVIEW=田中裕幸

 
 

 
 

 
 

 
 

ドラマ「さくらの親子丼2」に出演中
壮絶な(!?)過去を持つ少女を演じるにあたってのこだわり

 
 
――家族や親にひどい仕打ちを受けた子どもたちが住む“子どもシェルター”を舞台にしたドラマ「さくらの親子丼2」で、子どもたちの中でリーダー格の少女・新城由夏役を演じている岡本さん。複雑な過去を持ち、主人公・さくら(真矢ミキ)をはじめ大人たちを信用しない少女ですが、最初この役柄をどう演じようと思いましたか?

「みんなそれぞれ何かしらのものを抱えて今を生きている子たちで、由夏を演じるときにそこに嘘がないように寄り添っていきながら、でもしっかり前に進もうとする気持ちも伝わると、観ていて温かくなるようなドラマになるのかなと思いました。暗くなりすぎないように意識しています」。

――これまでさまざまな役柄を演じてきた岡本さんですが、今回はかなり特殊ですね。

「ここまで人間的にドラマを抱えていて、すごくヒューマンな部分が出ている役は初めてなので、作品に入る前の段階で積み上げていこうかなというのはあったんですけど、実際に現場に入って、真矢さんが演じるさくらさんに出会って、そこで初めて知る感情みたいなものもあったので、現場で生まれたものを大切にしてやっています」。

――真矢さんも、撮影初日に一緒に芝居をした岡本さんが「エンジンをかけてくれた」とおっしゃっていましたね。その撮影の前には、やれる範囲での準備はしていったと。

「クランクインの前には、もともとの設定の中でどういう子なのかを勉強しようと思い、少年院にいた女の子のドキュメンタリーを観たり、問題を抱えた少女を描いた小説を読んだりして、情報を頭に入れていきました」。

――最初の番組の資料では、由夏の設定は「過去に悪行の限りを尽くしてきた……」とか穏やかじゃない記載もありました。

「でも、最初の文字情報がすべてではなくて、簡潔にまとめるとそういう言葉になっているだけだと思うんです。子どもたちにはそれぞれ問題があるんですけど、こういう問題があったから大人に対して心を開けないけど、こういうことに対しては少しほっとしたり、温かくなる面があるかもしれません。そういう感情も表現できたらと思います」。

――たとえば3話で由夏が詩(祷キララ)の恋愛相談に乗ってあげたり、人生ゲームをしたり、ほっこりするような場面もありましたね。

「どんな人にも優しい部分があると信じたいし、一面だけが出るようにはならないようにしたほうが人間味があって、なんとなく愛おしい存在になるのかなと思うので、あまり設定に縛られすぎずにやっています」。

――真矢さんだけではなく、若者キャストたちとの芝居の中でも、その役が膨らんでいく感覚はあります?

「ありますね。撮影でシーンをたくさん積み重ねて、みんなと会話をしているうちに見えてくるものが多いです。それぞれの関係性だったり、大人に向ける微妙な空気だったり、ちょっと冷めた目だったり……。そのようなものはリアルに出ていると思います。関係性のバランスはみんな撮影でそれぞれ取っていく中で自然と生まれてきたりするので、いい意味で考えすぎず話し合いしすぎず、できているのかなと思います」。

――さて、ドラマはこれから佳境に入っていきますが、謎が多かった由夏の過去なども明らかになってくるのでしょうか?

「はい。ラストスパートに入って、由夏ちゃんの過去に何があったのかが出てきたり、今までは出さなかった気持ちの部分がどんどん表れてきたりします。『由夏にこういう部分があるんだ』と感じながら演じているので楽しいです。やっと気持ちで演じている感じになりました。今まではただイライラしている場面が多かったのですが、そうではなくなってきている気がして楽しいです」。

――とても演じがいがあるようですね。

「気持ちのディベートじゃないけど、ちゃんと由夏が思うことを伝えようとしている瞬間が多くなりました。そのほうが人間っぽいし、こういうところが絶対にあるはずだと思っていたので嬉しいですし、それが視聴者のみなさんに届けばいいなと思います」。

――今回の作品をやっていてよかったと思えることは?

「毎回オンエアが終わったあとに、ツイッターでハッシュタグをつけた感想をツイートしてくれるじゃないですか。それを見ていると、本当にこういう現状ってあるんだなと知ってくれる人がいるんです。本当にある世界を、ドラマを通して提示して、それを知ってもらえるということだけでも、やっていて本望というか、あんまり知られていなかった世界の話を届けられたのかなということが、この作品に携われてよかったことだなと思います」。

――観たあとで感想を語りたくなる、自分の考えを述べたくなる作品です。

「放送が終わったあとの感想で、『私も当時親とうまくいかなかったときに、大人のこういう言葉に助けられた』『私にもさくらさんみたいな存在がいて……』という感想をお見かけしました。虐待の描写とか、観ていて苦しくなるシーンもきっとあると思うんですよ。でも、それがほったらかしになっていてはいけないんだということを、そういう子たちにも救われる場所がないといけないんだということを、私たちの身体を通して演じて、それがみなさんに届けばうれしいなと思います」。

――あと、本作の見どころとしては、毎話登場する、さくらさんが作るおいしそうな料理もあります。

「由夏は、最初はさくらさんが作った料理を食べなかったんですけど、でもやっぱり食欲には負けてしまうんですよね。育ち盛りの女の子なので、嫌いな人が作ったごはんでも食べてしまうんです。なんとなくわかるし、食べたくて耐えきれない由夏ちゃんも微笑ましい気がします(笑)。いまだに『いただきます』はちゃんと言わないんですけど、しっかりご飯を食べている様子を見ると、そういうところにも人間味があるなと思います」。

――特に印象に残っているお料理は?

「4話のクリスマスパーティーの料理ですね。本当に豪華でした。チキンを一番最初に食べたんですが、プリプリで美味しかったです。唐揚げも美味しかった。お肉ばかり食べていたかも(笑)。パーティーのシーンではちゃんと満足できるくらいお腹いっぱい食べていました。3話の鍋焼きうどんもおいしそうだったな。親子丼は由夏ちゃんはまだ食べられていないので、いつか食べるのが楽しみですね」。

――さて、2019年も始まったばかりですが、岡本さんの2019年の抱負を。

「4月から白井晃さん演出の舞台『春のめざめ』にヒロインとして出演させていただくことが決まりました。映画『BACK STREET GIRLS-ゴクドルズ-』も2月に公開されます。もちろん『さくらの親子丼2』もあるので、2019年の初めからみなさんにお芝居を見ていただける機会が多く、その環境が本当にありがたいです。それが2019年ずっと続けばいいなと思います。たくさんの作品に携わっていきたいです!」。
 
 

 
 

 
 

 
 


 
 

岡本夏美(おかもと・なつみ)

生年月日:1998年7月1日(20歳)
出身地:神奈川県
 
 
【PROFILE】
2011年、「ラブベリーモデル・オーディション」でグランプリを受賞したことをきっかけにデビュー。2015年から2018年までは「Seventeen」専属モデルを務めた。女優としては、ドラマ「GTO」(2014年)、「賭ケグルイ」(2018年)、映画「仮面ライダー1号」(2016年)、ドラマ&映画「咲-Saki-」(2017年)、「台湾より愛をこめて」(2018年)、舞台「ダンガンロンパ3 THE STAGE 2018」(2018年)などに出演。現在CHOYA「酔わないウメッシュ」のCMに出演中。
 
【CHECK IT】
オトナの土ドラ「さくらの親子丼2」(東海テレビ・フジテレビ系/土曜23時40分~)に出演中。舞台「春のめざめ」が4月13日(土)~4月29日(月)にKAAT神奈川芸術劇場で上演。映画「BACK STREET GIRLS-ゴクドルズ-」は2月8日(金)に公開。
 
 

「さくらの親子丼2」

詳しい情報は「さくらの親子丼2」公式HPへ