PICK UP ACTRESS 宇野愛海

PICK UP ACTRESS 宇野愛海

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

短編映画「歩けない僕らは」に主演
理学療法士役で半身不随の患者と向き合う

 
 

――少し前にSNSで日向坂46のライブの話を熱く書いていたのが、アイドルおたくのようでした(笑)。

「友だちにもそう言われました(笑)」。

――けやき坂46時代から、漢字欅(欅坂46)よりひらがな派だったんですか?

「もともと漢字が好きだったんですけど、テレビでひらがなの番組も始まって、1から観てると応援しちゃうじゃないですか。親目線で好きです(笑)。曲では、『やさしさが邪魔をする』がお気に入りです」。

――シングルのカップリングのユニット曲ですね。他にも好きなアイドルはいますか?

「ラストアイドルが好きです。2期生のバトルから番組を観始めて、育てている気分になっちゃって(笑)、2期メンバーを応援してます」。

――マニアの見方ですね(笑)。

「アイドルは好きなので(笑)」。

――でも、自分は女優として生きていこうと。

「最初は流れに任せてアイドルもやりましたけど、そうすると女優の仕事ができなくなって、そこで『私は女優をやりたいんだ』と気づきました。でも、本気で女優として生きていこうと思ったのは、わりと遅くて高校生の頃です」。


――その頃に何かあって?

「ある現場で、初めて監督に『何やってんだよ!』とかコテンパンに怒られたんです。ブスでデブな役で太らなきゃいけないのに、ストレスで胃腸炎になって痩せてしまったら、『役を外すぞ!』と言われて、『くそーっ!』と燃えました」。

――怒られて伸びるタイプ?

「どうだろう? 厳しいことも言われましたが、結局は楽しかったので、『女優になりたい』と思ったんです」。

――好きな女優さんもいますか?

「最近は山口紗弥加さんと平岩紙さんです。主役ではなくても存在感がある方なので好きです」。

――主演した短編映画「歩けない僕らは」は、いつ頃に撮ったんですか?

「2年前でした」。

――身体に障害のある人のリハビリをサポートする理学療法士に関して、予備知識はありました?

「まったくなかったです。調べてもピンとこなくて、図書館で本も借りたんですけど、専門的すぎてわからなくて。実際にリハビリ施設に行って、療法士さんたちのお話を聞いて、やっと『ああ、そうなんだ』となりました」。

――強く感じたことはありました?

「医療系は難しくて重いイメージがありましたけど、その施設は生きるか死ぬかではなく、生きる前提の方たちの回復のリハビリをしていたので、重苦しさは全然ありませんでした。療法士さん同士も仲が良くて、ポジティブな印象を受けました」。


――女性の療法士さんもいたんですか?

「はい。私が演じた遥と同じ1年目の女性療法士さんの話を聞かせていただきました。いくら学校でリハビリの実技を習っても、実際に患者さんと1対1だと、いっぱいいっぱいになっちゃうそうで、私も撮影中はあえて整理せず、いっぱいいっぱいを保つようにしました。こなす感じにならないように」。

――他にも演じる参考になった話はありました?

「患者さんとの距離感が大事、ということでした。1年目だと感情移入しすぎちゃう方が多いそうで、それだと引きずってしまったり、他の患者さんに影響が出てしまう。でも親身になることも必要だから、難しいと聞きましたけど、近すぎず遠すぎず……ということは意識しました」。

――でも、遥は左半身不随の柘植に「彼氏に振られました」と話したり、結構踏み込んでいたように見えました。

「柘植さんが心を開いてないのがわかって、自分のことを話して近づこうと、あえて言ったんだと思います。こちらが心を開いていることを示さないと、向こうも警戒するだろうから……というのはわかりました。私自身が人見知りで、向こうから来てくれない限り、心は開けません(笑)」。

――遥は仕事に熱い想いを持っていますよね。同僚の幸子に「私たちが一番考えないといけないのは患者さんの人生」と言ったり。

「一生懸命という言葉が似合う女の子です。ひとつのことをやり通す分、周りが見えなくなって、さっちゃん(幸子)ともケンカになったのかなと思います。私自身はケンカまではしませんけど、そういうところは似ていました」。

――37分の短編で背景が描かれてない部分も多いですが、たとえば遥がなぜ療法士を目指したか、考えました?

「実際に一番多い理由は、部活動でケガをしたときにお世話になったことだそうです。監督と話して、遥は家族がお世話になっていたと決めて、演じてました」。


 
 

役を引きずるタイプで夢の中で
うなされていることもあります

 
 

――恋人の翔との関係性も想像したんですか?

「そこはもともと脚本に書かれていて、高校時代、翔くんが野球部で遥がマネージャーで、テーピングをしてあげたりするうちに距離が縮まった……ということでした。そういう背景は考えますが、考えすぎるとできなくなるので、捉われすぎないようにしています」。

――翔に別れ話を切り出されたとき、「今じゃない」と涙が流れ出すのは、すごくリアルに感じました。気持ちを作って臨んだんですか?

「そういうわけではありませんでした。泣こうと思うと泣けないんです。あそこは『泣く』という演出もなく、ただただ辛くて、自然に涙が出てきました。いつも役を引きずるタイプで、あのときの遥としては仕事が苦しくて、唯一頼れる存在だった翔に『別れよう』と言われて、急に支えがなくなるのが悲しかったように思います」。

――宇野さん自身もわかる気持ちでした?

「私も周りに頼って生きているので、どれかひとつでもなくなったら、立ち直るのに時間がかかるとは思います」。


――リハビリに後ろ向きな柘植に、「好きな人がいるんですよね? こんなことで諦めたらダメです」などと、かなり強いことを言うシーンは見せ場でした。

「遥はあまり感情を表に出さないので、勇気が要るところでした。でも、この作品で気持ちがわからないところはあまりなくて……。あのシーンもその前に、自分が担当して歩けるようになったお婆ちゃんの墓参りに付き添って、ずっと年上の方が前に進もうと頑張っているのに、こんなところでクヨクヨしてられない……というのがあったと思います」。

――そういうシーンを撮る前って、緊張はしますか?

「現場に入る前は緊張しますけど、この作品は撮影スケジュールがタイトで、緊張を感じる余裕もありませんでした。遥自身がずっといっぱいいっぱいになっている役でもあったので。私はたぶん小心者で、お仕事の顔合わせに行く前はすごく緊張します。でも、次の日からはケロッとして、現場に行ったらどうにかなります」。

――役に入れば自分の緊張は関係なくなる?

「カッコ良く言えば、そんな感じです(笑)」。

――「役を引きずる」という話もありましたが、撮ってないときも役の気持ちになっていたりするんですか?

「急に役が頭の中に出てきたりしますね。10月末の舞台で暗い役をやったときも、夢でうなされていたと姉に言われました(笑)」。


――すごくつらい役を演じて、日常生活に影響が出ることも?

「『罪の余白』のときがそうでした。学校でつらい目に遭う役で、実際の高校にも行かなくなって、ハワイの修学旅行も行くのをやめました」。

――そこまで!?

「スケジュールの都合も少しありましたけど、行けなくはなかったんです。でも、『行かない』と言いました。全部が怖くなっちゃって……」。

――そこまで役と一体化するのは、女優としては良い資質でしょうけど……。

「でも、もっと器用に生きたいです。今は切り替えができないんですよね」。

――「歩けない僕らは」ではバッティングセンターのシーンもありました。

「翔役の(細川)岳さんと練習に行ったんですけど、全然上手くなりませんでした(笑)。運動はまったくダメで、ダンスと弓道しか経験なくて。家族は全員運動が得意なのに私はできず、そこは『監督、ごめんなさい』という感じでした(笑)」。

――でも、ちゃんと脇を締めて打ってました。

「形は岳さんにいっぱい教わりました。脚の動きや踏み込みも意識しました」。

――何球かに1球は当たるようになりました?

「そうですね。本気を出せば(笑)」。

――では、宇野さんが冬場に遊びに行くのは、どんなところですか?

「基本的に季節に関係なくインドアで、YouTubeを観ています。メイク系、ネタ系、PVとかいろいろと。それから、冬といえば干しいもが好きで、よく買います。焼きいもよりも高いので、スーパーで安くておいしい干しいもを探します」。

――地味なお楽しみですね(笑)。クリスマスは盛り上がるんですか?

「両親からプレゼントを、どんどんレベルは下がってますけど(笑)、一応もらえるので楽しみです。姉のお下がりのドクターマーチンのブーツを4~5年履いていて、ボロボロになってきたので、そろそろ新しいのが欲しいです(笑)」。

――21歳の女子大生で、まして女優の宇野さんが、お下がりのブーツを4~5年履いているんですか?

「靴に全然興味がないです。寒くなったらマーチンを履くだけで、他はサンダルと友だちに沖縄のおみやげでもらった島ぞうりしかありません(笑)。冬に履くものがなくなるから新しいのが欲しいだけで、基本的に物欲はありません」。


――洋服は?

「あまり買いません。家ではずっとパジャマ。大学に行くときは楽な格好で、周りのオシャレな子たちを『わー、かわいい』って見てるだけです(笑)」。

――本当に質素ですね(笑)。年内にやっておきたいことはありますか?

「卒業に近づきたいです。3・4年は学業を優先にしてしまったので、来年はお仕事をちゃんとできるように」。

――部屋の大掃除とかは?

「姉がしてくれます(笑)。部屋は別々ですけど、うちは三姉妹で身長が同じくらいで、服が共用なんです。私の服でも、なくなれば全員困るので、部屋も片付けてくれちゃうんですよ。だから任せてます(笑)」。

 
 


 
 

宇野愛海(うの・なるみ)

生年月日:1998年3月19日(21歳)
出身地:栃木県
血液型:A型
 
【CHECK IT】
12歳で女優活動を開始。主な出演作はドラマ「なぞの転校生」(テレビ東京系)、「ウルトラマンオーブ」(テレビ東京系)、「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系)、映画「罪の余白」、「デスフォレスト 恐怖の森3」、「斉木楠雄のΨ難」など。主演映画「歩けない僕らは」は11月23日(土)より新宿K’s cinemaから全国順次公開。
詳しい情報は公式HPへ
 

「歩けない僕らは」

監督・脚本・編集/佐藤快磨
配給・宣伝/SPEAK OF THE DEVIL PICTURES
詳しい情報は「歩けない僕らは」公式HPへ
 

 

 

©映画『歩けない僕らは』
 
 
直筆サイン入り自撮りチェキ応募はコチラ⇒